パラメトロンとは


電子計算機の素子というと、なんとなく、真空管やトランジスタ、ICなど、単体の部品を思い浮かべがちです。
私も、はじめパラメトロンと聞いて、真空管やトランジスタのような、1つの部品からリード線が何本か出ている物を想像していました。
しかし、実際は、コンデンサとコイルを組み合わせた一種の共振回路でした。
コアの1次側に信号を入れ、2次側のLC共振回路を駆動して、パラメトロンとして働かせます
この共振回路の特徴として、1次側に入力される交流分のによって起こる起電力が2次側に直接伝わらないように、1次側のコイルは、交流によって起こる起電力が、お互い打ち消し合う向きに、コイルがコアに巻かれています。



このLC共振回路の1次側に励振電圧(2次側の共振回路の共振周波数Fの2倍の周波数2Fの信号と直流を重ねあわせた信号)を加えます。
すると、不思議な事に、2次側の共振回路から周波数Fの安定した信号が現われます。




また、発振の状態は、2つあり、片方の信号を基準に考えると、同相(0°)、又は逆相(π)のどちらかの信号が起こりうるのです。
この2つの状態は、励振電圧を加える以前の状態(微弱な前の信号が残っていたり、ノイズなど)を発振の種に、励振電圧を加えた事で徐々に信号が大きくなります。(小さい信号が大きくなるので一種の増幅回路とも考えられます。)

一度発振すると、外から信号やノイズを加えても容易変えられない程この状態は安定し、その状態を保持します。
(一種の記憶回路)
パラメトロン計算機は、この性質を利用し、位相の同相・逆相を、デジタル的に、1と0に対応させています。



今、1つのパラメトロンにフェライトコアを通して、何本かのワイヤーを結び、同じ強さの信号をくわえたとします。
それぞれの信号の位相が0°と0°、πとπなら、お互いの信号を強めあい、0°とπ、πと0°ならお互いの信号を打ち消しあいます。
ここで、パラメトロンの発振状態は、励振電圧を加える前の僅かな信号が、励振電圧を加えた後の位相に影響するので、これらの信号を種信号に、励振電圧を加えると、演算結果を増幅した信号が出てくることになり。パラメトロンで演算ができます。(多数決の論理)
これらにより、パラメトロンは計算機に必要な、増幅・記憶・演算を実現しています。